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⑩椎間板内酵素注入療法「ヘルニコア®注入療法」について

椎間板内酵素注入療法『ヘルニコア®注入療法』について

『ヘルニコア®』は椎間板ヘルニアを縮小させ、症状を改善させる注射薬です。使用にあたっては、厳密に適応を検討する必要があり、事前の診察とレントゲン、MRI撮影が必須です。またヘルニアは大きく分けて4つのタイプがありますが、その中でも「後縦靭帯下脱出型ヘルニア」だけに使用することができます。

神経根症状(一側の下肢症状)の方は投与できますが、馬尾症状(両下肢のしびれ、排尿障害)がある方には使用できません。また高度に変性した椎間板、すべりを生じている、ヘルニアがいくつもある、骨粗鬆症、リウマチ、20歳以下、70歳以上、妊娠中・授乳中の方への効果と安全性は確認されていません。

ヘルニコア®の投与は一生に1回のみです。アレルギーが発現する可能性が高くなるため、再投与はできませんのでご注意ください。

 

〈ヘルニコア®注入療法の流れ(当科では3日間の入院で行っています)〉

  • 入院1日目、透視下に椎間板ブロックおよび椎間板造影CT検査を行い、後縦靭帯下脱出型ヘルニアで、ヘルニアに骨化がないことを確認します。

※で、またはと診断された場合は、ヘルニコアの適応外になりますが、このタイプは椎間板ブロックが有効なことが多く、また白血球による貪食でヘルニアの自然消失が期待できます。また、ヘルニアが骨化していた場合は、ヘルニコアによるヘルニア縮小効果が得られない可能性が高く、当科では別の治療(パルス高周波法、硬膜外腔癒着剥離術など)を検討しています。

  • 入院2日目、椎間板ブロックと同様に針を穿刺し、ヘルニコア®を目標椎間板内に注入します。

  • 注射後は、1時間ベッド上で休んでいただきます。また簡易コルセットを装着していただきます。

  • 入院3日目、効果と副作用を確認し、問題なければ退院となります。

  • 退院後1週間は重いもの(5㎏以上)を持たないでください。またコルセットを装着し、腰を強く曲げる、ねじる動作を避けてください。

  • 1~3か月後にレントゲン、MRIを撮影し、効果を判定します。

 

〈効果について〉

下肢痛は13週間で平均49.5%改善するとされていますが、注射の効果には個人差があります。注射直後から効果があるわけではいことをご了承ください。

当科の使用経験では、椎間板ブロックの効果もあって退院時には痛みが軽減している例もありますが、ヘルニアは数か月かけて縮小します。従って、症状だけでなく、MRIで十分にヘルニアが小さくなったことを確認するまでは、コルセットで保護し、腰に負担をかけないように気をつけてください。

〈副作用について〉

注射施行時に針が神経根にあたる可能性があり、その際は一過性に放散痛を生じる可能性があります。また薬のアレルギーを生じる可能性があり(2.6%)、その場合は適切な処置が必要になります。その他、経過観察中に腰痛(22.3%)、下肢痛(4.8%)を生じることがあり、薬物療法、神経ブロック治療などが必要になることがあります。また一部に、腰椎の不安定性や、椎骨に変性を生じる危険性(23%)がありますが、これに対して特別な治療は必要ありません。

手術を完全に回避できる治療法ではないことをご了承ください

 

予約・相談窓口0957-23-2388代)

午前中は電話が混みあいますので、平日の午後にお電話ください。

 

 

令和6年2月 菅整形外科病院

ペインクリニック・整形外科

金出 政人(Kanaide Masato)

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